2018年・後半のおはなし                 「まっしろ子ねこのゆめ」

まっしろ子ねこは、大きな大きなゆめをもっていました。
それは、大きなりっぱなライオンになることです。

どうしたら、大きなりっぱなライオンになれるかな?
まっしろ子ねこは、かんがえました。

そうだ、ライオンは大きな声で「ガオーッ」ってほえるぞ、ぼくもほえるれんしゅうをしよう!
まっしろ子ねこは、いっしょうけんめいほえるれんしゅうをしました。
けれども、出てくる声は「ニャ〜」ばかり。

まっしろ子ねこは、またかんがえました。

そうだ、ライオンはりっぱなたてがみがあるぞ、ぼくだってライオンみたいになれるさ!
まっしろ子ねこは、体をふるわせて毛をさかだてました。
けれども、たてがみはちっとも出てきません。

まっしろ子ねこは、またかんがえました。

そうだ、ライオンの毛はこがね色にかがやいているぞ、ぼくだってライオンみたいになれるさ!
まっしろ子ねこは、こがね色土の上にねころび体をこすりつけました。
けれども、雨がふるたびこがね色がきえてしまいました。

まっしろ子ねこは、またかんがえました。

そうだ、ライオンはどっしりとしていてビクともしないぞ、ぼくだってがんばれるさ!
まっしろ子ねこは、そのばにすわるとライオンのように、どっしりとかまえました。

まっしろ子ねこは、ビクともしません。

まっしろ子ねこから、「スースー」と、小さな音が聞こえてきました。

まっしろ子ねこは、いつのまにかねむってしまいました。 
そして、ゆめの中でライオンになるゆめをはたしていたのでした。                          
                                                      
                   おしまい

──おはなし──

ここでは未発表の作品を紹介しています。
小さな小さなお話です。

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