2009年・前半のおはなし
「迷子」
あー、いつまでたっても全然すずしくなるけはいはありません。いったいどうしたというのでしょう。
森の動物たちは、木の実が実らないので、困ってしまいました。
「このまま秋が来なかったらどうしよう・・・」
「お腹いっぱい木の実を食べたいよう」
「秋が来ないってことは、冬はどうなるの」
森では動物たちが会議を始めました。
森の長老のクマさんが、森の一番古いブナの木に聞いてみました。
「今年はどうしてまだ秋が来ないのかね?」
するとブナの木は、それは秋風がまだ来ないからだと教えてくれました。
そこで、森の動物たちは秋風をむかえに行くことにしました。
森を代表して、耳のいいウサギさんと、鼻のいいキツネさんと、目のいいサルさんの三人が
秋風をむかえに行くことになりました。
秋風の住んでいるところは、遠い遠い西の国です。
険しい山道や深い谷をいくつもこえて、三人は力を合わせて助け合いながらどんどん進んでいきました。
「秋風さぁーん、どこですかー」
五つ目の山を越えたときです。どこからか泣き声が聞こえてきました。
三人は声のするほうへ走っていきました。
あっ、いました、いました。どんぐりの木の下で小さな男の子が泣いていました。
「どうしたの?」
三人は声をそろえて聞きました。
「お父さんとお母さんから、はぐれてしまったの。エーン。」
「そっか、分かったぞ。秋風さんの子どもが迷子になっていたから秋がこなかったんだ。」
また、三人の声がそろいました。
三人と出あった秋風の子どもは、もう一人ぼっちじゃありません。なんだか勇気が出てきました。
秋風と三人は声を合わせて「秋の歌」を歌いました。
♪秋風さん、こんにちは。ようこそぼくらの森へ
1、2の3で大変身。山のお化粧はじまるよ。♪
歌声は遠くまでひびきわたりました。
その声に気づいた秋風のお父さんとお母さんは、すぐに飛んできました。
秋風のお父さんもお母さんも、子どもも、森の動物三人も、みんな大喜びです。
秋風のお父さんとお母さんは、お礼に三人を背中に乗せてあげました。
さっ、これから森まで秋を届けに
出発!!
おしまい
──おはなし──
ここでは未発表の小作品を紹介しています。
小さな小さなお話です。
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